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Execution Managementが注目される予感

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Tom Davenport
Tom Davenport(トム・ダベンポート)
President's Distinguished Professor of Information Technology
Babson College

私は、ビジネスにおけるプロセス管理、エンタープライズシステム、アナリティクス、AIの領域を、思いのほか長期にわたり観察してきました。最近では、プロセスマイニング技術にも興味を持ち始めています。残念なことに、私の研究でこれらの異なる分野は、私の脳の別々の分野にサイロ化されていることが多く、それらの間のつながりを考えることはほとんどありませんでした。

そのため、Celonisが「Global Ecosystem Day」の説明会で、私の興味のある分野を組み合わせて「Execution Management=業務オペレーションの最適化」の領域に進出するという話を聞き、非常に興奮しました。Celonisはプロセスマイニングのマーケットリーダーですが、この分野では競争が激化しています。一方、以前にも書いたように、企業の間ではプロセスのパフォーマンスがどの程度悪いのかを知ることに、まだある程度の関心しかありません。私はCelonisのアドバイザーなので偏見があるかもしれませんが、既存の市場が競争にさらされてコモディティ化するのを待つのではなく、より野心的な市場に移行することは、企業にとって常に良いアイデアだと思います。

誤解しないでほしいのですが、プロセスマイニングは素晴らしいアイデアであり、プロセス重視の企業がトランザクションシステムのログデータに基づいて「現状のまま」のプロセスを理解するために利用するのは、紛れもなく理にかなっています。そして、Celonisはその機能を常に維持していくと述べています。しかし、世界にはプロセス指向の企業が十分に存在しません。その割合は米国よりもヨーロッパ(特にドイツ)の方が高いです。一方、企業は規律あるプロセス改善よりもドラスティックな変革を求めてきました。トピックを「プロセスマイニングからExecution Management」にまで広げることで、より幅広い顧客層への扉を開くことができるでしょう。

では、「Execution Management」とは実際には何を意味するのでしょうか?高いレベルでは、企業がシステムを使用して、主要なビジネス目標やプロセスを実行する能力を向上させることを示唆しています。より具体的には、ERP、CRM、SCM、HRM/HCMなどの様々なトランザクションシステムにシステムが入り込み、以下のようなことを行うことを意味しています。

  1. 各ビジネスプロセスがどのように実行されているかを監視します。

  2. プロセスがどのように測定され、実行されるべきかについて、他社のベンチマークを特定します。

  3. 望ましいレベルで実行されていないプロセスを特定します。

  4. プロセスのボトルネックの原因となっている問題や課題を特定します。

  5. ボトルネックの原因を解決するために必要なアクションを実行します(アラートの送信、タスクの割り当て、関連システムへの接続)。

  6. これらのアクションを自動化します。

  7. 主要なパフォーマンス指標の観点から結果を出します。 

便利な機能がたくさんありますね。しかし、なぜExecution Managementが必要なのでしょうか?それは、システムが断片化されており、システムとそれをサポートするプロセスがどのように機能しているかを知ることが難しいからです。私が20年以上前にエンタープライズシステムの研究と執筆を始めたとき、大規模で多機能なエンタープライズシステムが断片化を解消するだろうという前提がありました。しかし、それは実現しませんでした。企業はそれぞれの機能を持つエンタープライズシステムを増やし続けています。そのため、データの意味を理解し、それに対処するためのレイヤーが必要とされています。

もちろん、大企業にはさまざまなプロセスやシステムがあります。Celonisは、Execution Managementのためのすべてのツールを自社で提供しようとしないのも賢いやり方だと思います。Celonisはパートナー企業に対して、Execution Capacity=業務オペレーション能力を測定してボトルネックの原因を特定する「Execution Instruments」や、実行すべきアクションを決定してアクションを自動化して実行するための「Execution Apps」の構築を奨励しています。Celonisのように急成長している企業であっても、自社だけでこれらを迅速に構築することはできませんし、すべての分野で必要とされる専門知識を持っている企業はありません。開発をオープンにすることで、Execution Managementの標準を作ることができるかもしれません。

もちろん、Execution Managementの考え方は、企業が採用し、その恩恵を受けるかどうかが重要な問題となります。また、組織のどこでExecution Managementが定着するのかという興味深い問題もあります。プロセス管理と比較した場合のExecution Managementの魅力の一つは、プロセスリーダーだけでなく、社内の全員がExecution Managementに関与していると考えられることです。しかし、今のところ、管理者の一人がExecution Managementの責任を担うことは稀であり、チーフオペレーションオフィサーが責任を負うことになるのかもしれません。すでにプロセスに責任を持つオーナーシップが確立されている企業は、おそらくExecution Managementにおいて優位性を持つことになるでしょう。

また、他のベンダーがこのExecution Managementというアイデアを採用するかどうか、テクノロジー市場調査会社がこのアイデアを取り上げ始めるかどうかも興味深いところです。もしかしたら、どこかの学者がそれについての本を書くかもしれません。しかし、いずれにせよ、私はこのコンセプトが軌道に乗るだろうと楽観視しています。Execution Management=業務オペレーション能力を向上させたいと思わない人はいないでしょう。

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