お客様導入事例:日本電気株式会社

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NECグループの生産・物流拠点である掛川事業所では、標準化が難しい倉庫業務における人員配置の最適化やプロセス把握が課題でした。そこでNECは、自社の映像AIと「Celonis」を連携し、見えにくかった現場の「人の動き」をデータ化。開梱エリアの実証で作業スピードの差による手待ち時間等を特定し、物流費全体の約20%削減のポテンシャルを導出しました。https://delivery-p141552-e1488202.adobeaemcloud.com/adobe/assets/urn:aaid:aem:9596440b-6dc1-40c1-bdc3-f266f3ad26bb/original/as/2026_celonis_409_Tier-3-Customer-Story-NEC-AI-SC_Webpage_LP_01_02.png

NEC独自の映像AIとCelonis

を連携させることで、これまでブラックボックス化していた現場の人の動きをデジタルツインとしてデジタル空間に再現・可視化することに成功

20% 相当の削減ポテンシャルを創出

開梱エリアでの実証において、開梱と検品のスピード差による手待ち等を特定。

現場からは「従来見えていなかった課題が可視化された」と高評価

動線改善による安全性向上やコンプライアンス強化など、定性的な効果の土台も整備された

映像AI×Celonisでシステムに残らない「人の動き」を可視化、分析により、物流費全体の20%削減のポテンシャルを導出 - NECが挑む、物流現場の抜本的改革とデータドリブンな全体最適

サプライチェーン全体の最適化が急務となるなか、システムログに残らない人の動きをいかにデータ化し、業務改善につなげるか――。

日本電気株式会社(NEC)は、グループの生産・物流拠点であるNECプラットフォームズ掛川事業所を舞台に、この難題に対する画期的なソリューションの実証を行った。プロセスインテリジェンスソリューション「Celonis」と、NEC独自の高精度な映像解析技術(映像AI)の融合である。

アナログな観測に頼るしかなかった物流現場の作業実態をデジタルツインとして可視化し、人員の最適配置と抜本的な効率化を目指す。自社を最初の導入実践の場=「クライアントゼロ」と位置づけ、次世代のデータドリブン経営を推進するNECの挑戦に迫る。

導入の背景:標準化が難しい物流現場、見えにくい人の動きをデータで捉える

NECグループの生産・物流拠点として、ネットワーク機器をはじめとする多彩なハードウェアの開発・生産を担う掛川事業所。その構内物流領域において、入庫・出庫プロセスは極めて重要な役割を果たしている。しかし、サプライチェーン全体の最適化を図るうえで、物流現場ならではの構造的な課題が立ちはだかっていた。

「製造ラインであれば、ネジの取り付けなどの工程ごとに標準時間を定めることができます。しかし倉庫業務は荷姿がバラバラで、朝一番に物量が集中するなど作業量に波があります。そのため平準化が非常に困難でした」と、本プロジェクトのマネージャーを務める小田口 健 氏は説明する。

「どこに・いつ・どれだけ人が必要か」が見えにくいため、現場ではピーク時に備えて経験則で人を厚めに配置する状態が常態化していた。加えて、複数システム間にデータが点在し、既存のシステム連携だけでは現場の実態を追いきれないという課題もあった。

真のボトルネックとなっていたのは、システムログに残らない人の動きだ。「作業の一部を外部委託している環境では、総作業時間といった結果はわかっても、プロセスのどこに無駄が潜んでいるのかを客観的に把握することが困難でした。従来の改善はストップウォッチ等でのアナログな観測に頼らざるを得ず、手付かずだった人の動きを客観的なデータにすることがすべての出発点でした」(日本電気株式会社 コンサルティングサービス事業部門 ビジネスアプリケーションサービス統括部 データドリブン・プロセス変革グループ シニアプロフェッショナル小田口 健 氏)

ソリューション:「映像AI×Celonis」で物理世界をデータ化

人の動きを可視化するため、NECが選んだのがプロセスインテリジェンスソリューションを基盤とする「Celonis」の活用だ。しかし、Celonisは、ERPなどの情報システムに蓄積されたイベントログを取り込んでプロセスを可視化するプラットフォームである。システムを持たない現場作業員の動きを、どうやってCelonisに取り込むのか。

コンサルタントの座波佑爾氏は、NEC独自のアプローチを次のように説明する。

「そこに当社の映像AIを掛け合わせました。映像AIで人の作業をカメラ映像からデータ化し、ログに変換し、Celonisでシステムから人の作業までのプロセスをエンドツーエンドで可視化し、改善につなげることができます。これが本アプローチならではであり、最大の特徴です」

実証において、最初の観測点として選ばれたのは、物流の入口であり、人が滞留しやすい開梱エリアだ。現場にカメラを設置し、作業員の動きを「開梱」「歩行」「運搬」といった8種類の作業に自動で検知・分類させた。技術的な工夫も凝らされている。

「どういう動きをすれば『運ぶ』と定義するかをAIに学習させる必要がありますが、細かく取りすぎても分析が煩雑になります。そこで、価値創出に直結する主作業と、それを支える付帯作業に分類し、適切な粒度でCelonisに取り込むことで、現場の実態をデジタル空間に再現するデジタルツインを構築しました」(日本電気株式会社 コンサルティングサービス事業部門 ビジネスアプリケーションサービス統括部 データドリブン・プロセス変革グループ コンサルタント 座波 佑爾 氏)

Celonisは、作業の順序や回数、所要時間を1つの基盤で可視化し、その分析・ダッシュボード化まで完結できる。座波氏は「システムに依存しないデータ基盤として、AIとの親和性が高い点も強みだと感じています」とCelonis活用のメリットを語る。

映像AI技術によって「ピッキング」「運搬」「手待ち」といった作業内容をデータ化、Celonisで可視化・分析し、業務変革につなげます。

https://delivery-p141552-e1488202.adobeaemcloud.com/adobe/assets/urn:aaid:aem:f4c40f92-6569-4e40-93a6-61bec7edef55/original/as/2026_celonis_463_industries---Tier-3-JAPAN-Customer-Story-NEC-AI-SC_Webpage_HERO_092026.png

導入効果:「感覚」の課題が「客観的データ」に変わり、物流費全体の20%削減のポテンシャルを導出

データの可視化は、すぐに大きな成果をもたらした。コンサルタントの榊原結衣氏は、PoV(価値実証)の成果について次のように語る。

「Celonisのダッシュボードで分析を進めると、開梱担当者と検品担当者の作業スピード差から生じる手待ち時間や、レイアウト起因による無駄な運搬など、アナログな観測では捉えきれなかった課題が次々と見えてきました」

たとえば、開梱作業者の手が空いてしまうなら、検品作業と役割を兼務できないか。こうした業務改善の提案を行う際にもデータが強力な武器となった。

「客観的なデータという裏付けがあることで、委託業者の方々との合意形成もスムーズに進めやすくなります」(日本電気株式会社 コンサルティングサービス事業部門 ビジネスアプリケーションサービス統括部 データドリブン・プロセス変革グループ コンサルタント 榊原 結衣 氏)

結果として、開梱エリアにおける役割分担の見直しなどの施策を実行することにより、物流費全体の約20%相当の削減が見込めることが明らかになった。さらに、映像からの骨格検知や動線分析により、危険な姿勢の防止や、契約外のドライバーによる荷役作業の抑止など、安全性向上やコンプライアンス強化といった定性的な効果も期待できるという。

可視化に対する現場の反応も上々だった。実際のデータを見た現場の管理者からは「従来見えていなかった課題が可視化された点は非常に良かった」と高い評価を得ている。

今後の展開:情報世界と物理世界を融合し、E2Eでのサプライチェーン最適化へ

開梱エリアでの確かな手応えを受け、現場からは「受注から出荷に至るまで、サプライチェーン全体をエンドツーエンドで最適化したい」という声が上がっている。

「今後は検品・入出庫エリアへ対象を拡大し、360度カメラを導入してエリア全体での人の流れや重複動線を俯瞰的に把握していきます」と小田口氏は今後の展望を語る。

NEC最大の強みは、高精度な映像AIで捉えた物理世界の動きと、ERPなど情報世界のシステムログをエンドツーエンドで融合できる点にある。情報と物理の両面から現場を整流化し、経験に依存せず運用できるプロセスへと標準化することは、自動搬送ロボットなどフィジカルAI導入に向けた着実な足がかりにもなる。「ロボットに正しい動きを学習させるためにも、まずは人間がベストな動きを定義しておく必要があるからです」(小田口氏)

NECは、全社的なAI活用プロジェクトのもと、自社をクライアントゼロとして実践・蓄積したこの映像AI×Celonisのソリューションを、今後広く製造・物流業界へと展開していく構えだ。モノが滞りなく流れる工場のように、人の動きもよどみなく流れる現場へ――。日本の物流に隠れた人とモノの流れを解きほぐすデータドリブンな挑戦は、まだ始まったばかりである。