「Process Intelligence Day Osaka 2025」開催―「No AI without PI(プロセスインテリジェンスなしにAIなし)」 イベントレポート第一弾
Celonisは、2025年12月4日、インターコンチネンタルホテル大阪にて「Process Intelligence Day Osaka 2025」を開催。最新のプロセスインテリジェンス技術とAIの具体的な活用法、そして数々の実践事例をご紹介しました。本稿では、各講演の重要なポイントを抜粋して紹介します。なお、イベント当日の各講演については、こちらからご覧いただけます。
エンタープライズAIに必要な3つの要素とプロセスインテリジェンス
まず村瀬は、将来の企業像として「Intelligently Adaptable(知的な適応性)」を提唱しました。これは、「コンポーザブル」「真のインテリジェンス」「業務オペレーションの自律化」「チェンジマネジメント」という4つの要素を備えた企業を指します。そして、それに向けて「企業においてAIを機能させること」がまず第一ステップであると訴えました。
ここで言う「AI」は生成AI等の単体の技術ではなく、エンタープライズレベルで隅々までインテリジェンスが機能する「エンタープライズAI」の事です。
但し現状、AIへの投資対効果を得られている企業はわずか11%にとどまり、エンタープライズの世界で大きな価値が創出されているとは言えません。事実、「AI活用を始めたが、大きな価値は創出できていない方?」と言う村瀬の問いに、会場でも多くの観客が挙手をしました。何故なら、エンタープライズAI活用に必要な3つの要素が、「ビジネスコンテキスト(文脈)の理解」「戦略的な展開」「他との連携」が今は欠けているから、だと村瀬は指摘します。
AI活用を成功に導くには、業務がどのように流れているかという包括的な視点が必要です。しかし現実には、データが個別の業務システムやxls、メール等に散在しており、AIがコンテキストを理解するための情報が不足しています。「ビジネスの流れを最も正確に表現しているのは“プロセス”」だと村瀬は強調し、Celonisのプロセスインテリジェンスにより、散在するデータを統合して文脈化し、AIが成功するための必要なインプットを生成できると述べます。
さらに村瀬は「プロセスの民主化」の重要性を説き、レガシーシステムやエージェント、AIソリューションをサイロ化から解放し、プロセスを中心に業務全体の最適化を進めることが必要だと訴えました。
最後に村瀬は、プロセス(Process)、プラットフォーム(Platform)、ピープル(People)の「3つのP」の軸で講演を総括。AIドリブンなオペレーションにはプロセスインテリジェンスが必要であり、それをコンポーザブルなアーキテクチャで支えるプラットフォームがCelonisであること、そして変革を推進するのはチェンジメーカーである参加者自身だと述べ、Celonisがそれを支援していくと呼びかけました。
生産性向上とAI活用でプロセス改革を推進
続いて、マクニカホールディングス株式会社 執行役員 兼 株式会社マクニカ IT本部 本部長 安藤 啓吾様が登壇し、講演を行いました。半導体業界特有のシリコンサイクルに対応するため、同社では生産性向上を重要テーマに掲げ、2019年から基幹システム刷新などに取り組んできました。「現場の経験と勘に頼った改善だけでは限界がある」と安藤様は述べ、データに基づいた改善を目指してCelonisに着目したと説明しました。さらに、Celonisのグローバルリソースを活用し、事例を学びながら展開を進めてきました。
具体的には2023年から商談領域でパイロットを開始し、受注・調達領域へと展開を拡大しています。特筆すべき取り組みとして、Process IntelligenceとAIを活用した事例があります。まさに、先の基調講演であったビジネスコンテキストをAIにインプットしたケースで、
「担当者のメールデータとERPのプロセスデータを組み合わせてプロセス全体を可視化し、AIで状況分析を行い、推奨アクションを提示することまで実現した」と安藤様は述べ、将来的には自律型AIエージェントへの発展を目指すとしました。
今後の展望として、安藤様は「多様なデータソース」「プロセスのコンテキスト」「コンポーザブル」という3つのキーワードを挙げ、Databricksとの連携にも期待を示しました。そして業務変革の成功条件として「People」「Process」「Platform」の3つのPを強調。特にPeopleについて、安藤様は「トップマネジメントのサポートと現場の変革リーダー、そしてそれをサポートする体制が必要不可欠」と述べ、「Celonisの仲間として情報交換を続け、日本企業の変革に繋げていきたい」と締めくくりました。
データ基盤、プロセスインテリジェンス、AIドリブンの3つの柱で進化
プロダクトセッションでは、バリューエンジニアリング本部 第二本部 プリンシパル バリューエンジニアの原田 豪と、同部の山浦 武が登壇し、Celonisの最新アップデートを紹介しました。
今回のアップデートは、「Data Core」「Process Intelligence Graph (PIG)」「Build Experience」の3つの要素で構成されています。Data Coreでは、Microsoft FabricやDatabricksと連携し、データをコピーせずにゼロコピーで分析できる基盤を実現。Process Intelligence Graphでは、60以上のプリセットデータモデルの追加やタスクマイニングの強化により、デジタルツイン構築時間を大幅に短縮しました。
Build Experienceでは、「Celonis AIアシスタント」がプラットフォーム全体に組み込まれ、データモデリングからダッシュボード構築、分析結果のインサイト抽出まで、Celonis活用の全般をサポートします。山浦は「ITに詳しくない業務部門の方でも、より早く簡単に価値実現できるようになる」と説明しました。
特に注目されたのが、AIドリブンオペレーションを支える「オーケストレーションエンジン」です。「システムとAIと人を組み合わせた業務プロセスをEnd-to-Endで統率できる」と山浦は説明し、フリーテキスト購買のデモを通じて、AIがカタログ照会から代替品提案までを自動実行する様子を披露しました。
原田は「エンタープライズAIの実現には、生成AIに質問するだけでなく、ビジネスを良くするための学習データ、つまりRAG(検索拡張生成)を準備することが最大のポイント」と強調し、「AIを活用するだけでなく、オーケストレーションエンジンで動的に閾値を設定し、価値実現を推進していく」と述べ締めくくりました。