「Process Intelligence Day Osaka 2025」開催―「No AI without PI(プロセスインテリジェンスなしにAIなし)」 イベントレポート第二弾
Celonisは、2025年12月4日、インターコンチネンタルホテル大阪にて「Process Intelligence Day Osaka 2025」を開催。最新のプロセスインテリジェンス技術とAIの具体的な活用法、そして数々の実践事例をご紹介しました。本稿では、各講演の重要なポイントを抜粋して紹介します。なお、イベント当日の各講演については、こちらからご覧いただけます。
企業戦略と連動したプロセス変革で描く「DX成功への道筋」
事例セッションでは、株式会社エイト日本技術開発 プロセスイノベーション本部 情報戦略グループ グループマネージャーの藤田 亮一様、同グループ 主査の鈴木 慎也様が登壇し、Enterprise Value Framework (EVF)を活用した取り組みについて紹介しました。
建設コンサルタント業を営むエイト日本技術開発は、2020年7月にCelonisを導入し、営業、生産、ITSM、調達、経費精算といった幅広いプロセスを可視化してきました。これまでに約1億円の価値を創出し、今後は7.2億円の効果が見込まれています。
具体的な成果として、鈴木様は旧基幹システムの承認ワークフローを分析し、最大7承認者だったプロセスを2承認者に簡素化することで、年間約30万回の承認工数削減を実現したと報告。また、Salesforce導入時に営業プロセスを9フェーズに標準化し、案件発掘フェーズから始める案件の方が受注率・受注額ともに高いことを明らかにしました。さらに、AIを活用した営業フィードバックでは、過去の受注実績からモデルを作成し、進行中の案件に対して重要確認項目の実施を促す仕組みを構築。「営業プロセスを理解し、Celonisでデータを整理してきた積み重ねがAIの恩恵を受けられた要因だ」と鈴木様は振り返りました。
続けて藤田様は「これまでは暗中模索でさまざまなプロセスを個別に分析していたが、EVFによって企業戦略とCelonisを整合させ、KGI達成に向けた体系的なアプローチが可能になった」と語り、「今後はCPMやタスクマイニングなど新機能を活用し、End-to-Endでのプロセス可視化を進めていく」と展望を述べました。
建設業の業務変革を支えるプロセスマイニングへの挑戦
続く事例セッションでは、株式会社コベルコE&M 業務改革プロジェクト室 室長の村山 慎二様と、同室の青木 琢真様が登壇し、建設業におけるCelonis導入の取り組みについて語りました。
同社は複数企業の合併を経て現在の形となっており、部分最適と属人化した業務プロセスが課題となっていました。加えて、労働集約型事業において年間約40名のリソース減少という厳しい状況に直面。「人が減っても生産性を上げ、売上を維持拡大していく必要がある」と村山様は背景を説明しました。
2024年4月に業務改革プロジェクトが発足し、2029年4月の新基幹システム稼働に向けた取り組みが始まりました。Celonis採用の決め手について村山様は、「成果・価値を刈り取るところまでプロジェクトの成果として捉えていただけた点が大きかった」と振り返ります。.
導入プロジェクトでは、効果を定量的に金額換算できる調達プロセスをテストケースとして選定しました。過去3年分の実績データを分析した結果、事前購買を行った案件の75%で納期変更が発生し、変更回数は最大11回、全体の83%で数ヶ月単位の変更が発生していることが明らかになりました。「調達部として無駄な作業が発生していることが定量的に把握できた」と青木様は成果を語りました。
続けて村山様は「改善機会を経験や勘ではなく、データで事実として把握し、得られる価値を机上で検証したうえで改革を進めていきたい。今後はAIを活用し、人間はより生産的な業務にリソースを割く世界を実現したい」と展望を示しました。
トップダウンと現場連携で実現する業務プロセス改革の実践
続く事例セッションでは、キリンホールディングス株式会社 デジタルICT戦略部の五代 博昭様、アビームコンサルティング株式会社 サスナブルSCM改革戦略ユニットの大村 泰久様が登壇し、Celonisを活用した業務改革の取り組みについて紹介しました。
キリングループでは「KIRIN DIGITAL VISION 2035」のもと、AI・データ活用促進によってデジタル基盤強化を推進していると説明。「『人がやらなくてよい仕事をゼロにする(=生産性向上)』『人と共に価値を生み出す仕事を加速させる=(価値創造)』という2つの柱を掲げ取り組みを進めている」と五代様は語りました。
その一環として、2022年1月のSAP導入完了後、システム内のデータを活用した価値創出を目指し、同年10月にCelonisの導入を決定。具体的な成果として、調達部門における支払管理業務の自動化事例が紹介されました。年間2万件以上の取引における支払状況の確認や下請法対応のチェックなど、従来は手作業で行っていた業務をプロセスマイニングで可視化し、大幅な工数削減を実現。また、グループ傘下の工場では、タブレット端末を活用して作業データを収集し、人によって異なっていた作業プロセスを標準化することで、業務効率の向上につなげました。
大村様は支援パートナーとしての視点から、「プロセスマイニング導入では、現場の課題を感覚ではなくデータに基づいて可視化することが成功の鍵となる」と説明。五代様も「トップダウンで人と予算を確保し、まず小さな成果を出すことで現場の参画意識を高める必要がある」と補足し、「他社の先行事例も参考にしながら、データに基づいた改善活動を進めることが重要だ」と締めくくりました
「脱・勘と経験」をデータで実現。BIGLOBEが挑む「ゴールデンルート」拡大への航海
続く事例セッションでは、ビッグローブ株式会社 営業統括本部 エグゼクティブ・プロフェッショナルの山屋 英樹様が、Celonisを活用した業務改革の取り組みについて語りました。
ビッグローブは、成熟期を迎えた光回線市場において、CX(顧客体験)向上を重要課題としています。しかし、ダイヤルアップ回線時代からの歴史的な背景により、システムが複雑に積み上がり、現場の手作業に依存する状況が効率化を阻んでいました。
そこで同社は「ゴールデンルート」という概念を打ち出しました。これは、顧客の申し込みを自動処理で完結させる理想的な業務プロセスを指します。「業務実態が可視化されておらず、流量もわからなかったため、勘と経験に頼らざるを得なかった」と山屋様は当時の課題を振り返りました。
2024年7月のCelonisイベント参加を機に2024年末のPoV(価値実証)を経て、2025年7月から本格導入をスタート。回線廃止業務を対象に、Salesforceからデータ連携し分析を進めた結果、申し込み時の情報収集改善で約20%の向上が見込めることが判明しました。さらに、日次でゴールデンルート率をモニタリングするダッシュボードを構築し、継続的な改善体制を整えました。
今回のプロジェクトにおいて成功の鍵は二つあると山屋様は語ります。一つは「KPIとの連動」。業務部門がゴールデンルート率をKPIとして持ち、Celonisのデータを見ながら改善施策を考え、成果をモニタリングするサイクルを構築しました。もう一つは「三位一体の推進体制」。業務部門を船長として、COE(業務設計部門)がCelonisの分析環境を整備し、技術部門がデータ連携を担当する役割分担を明確化したことです。
「データに基づく議論により現場との対話が活発になり、プロセス全体を俯瞰する視点が生まれた」と山屋様は成果を語り、現在は本丸である開通業務への展開を進めているほか、AI活用により、さらなるCX向上を目指すとしています。