「Process Intelligence Day Tokyo 2025」開催―「No AI without PI(プロセスインテリジェンスなしにAIなし)」 イベントレポート第二弾

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Celonis は、2025年7月9日、ANAインターコンチネンタルホテル東京にて年次イベント「Process Intelligence Day Tokyo 2025」を開催。日本の企業に向けてプロセスマイニングの最新動向やその活用事例を紹介しました。本稿では、各講演の重要なポイントを抜粋して紹介します。なお、イベント当日の各講演については、こちら からご覧いただけます。

イベントレポート第二弾では、Celonisプロダクトセッション5講演についてご紹介します。

What is Celonis? プロセスインテリジェンスなくしてAIはない──Celonis × AIが導く自律型オペレーションの実践

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プロダクト講演では、Celonis株式会社 バリューエンジニアリング統括本部 第二本部 本部長の寺田有汰が登壇し、AI活用におけるCelonisの役割を強調しました。

寺田は、日々の業務でAI活用が進む一方で、その効果が「個人の効果」に留まり、数億円規模のビジネス効果につながりにくい現状を踏まえ、その原因を「データの文脈」の欠如にあると指摘。これに対し、Celonisはプロセスマイニングの技術で、ERPやSalesforceなどの業務システムに散在する企業データを統合し、AIが必要とする“「コンテキスト(文脈)」を付与するレイヤー”となることで、ビジネスへのAI適用を加速させると説明しました。

CelonisのAI機能として、ユーザーの質問に答える「対話型AI」、過去のデータから予測し意思決定を支援する「支援型AI」、反復的な業務判断を自動化する「自律型AI」の3つを紹介。特に、自由記述のメモやメールといった非構造データの整形、過去のプロセスデータからの予測と予兆、人間の判断が伴う意思決定の自動化といった具体的なアプローチについて、デモを交えながらその有効性を示しました。

Celonisは日本市場におけるAI活用の推進にも力を入れており、「Celonis AIハッカソン」を通じて、製造業における余剰在庫削減やERP品番マスタ重複削減といった具体的なユースケース創出に取り組んでいます。最後に、寺田は「プロセスがうまくいくとAI活用もうまくいく」と、日本ならではのAIユースケース創出に向け共創への強い意欲を示し、講演を締め括りました。

いまさら聞けないプロセスマイニングの基礎

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続くプロダクト講演では、Celonis株式会社 バリューエンジニアリング統括本部 第一本部バリューエンジニアの大松弘太郎が登壇し、プロセスマイニングの基本概念から実践的な分析手法とAIとの相乗効果について解説しました。

大松はプロセスマイニングを「業務のレントゲンを撮る技術」と例え、「納期遵守率が悪化しているとき、その原因を突き止めるためにプロセスを把握する装置」だと説明。さらに、自動的にプロセスフローを描画するために必要なのは「ID」、「アクティビティ」「タイムスタンプ」の3つのデータだけで、活用のハードルが低いことを強調しました。

分析アプローチについては、「探索型」と「仮説検証型」の2つを提示。探索型は不要なアクティビティなどの観点から非効率性を発見していく一方、仮説検証型では「Celonisを用いることで約3,000のグローバルプロジェクトから蓄積されたテンプレートを活用し、短期間での価値創出を可能にする」と説明します。

価値創出のフレームワークでは、創出する金銭的価値を「生産性向上」「売上向上」「運転資金改善」の3つの観点から効果を算出。その上で、「100の改善機会があっても、全てを改善できるわけではない。マスターデータの不備など、自社でコントロール可能な部分に焦点を当てることが重要」と指摘しました。

最後に大松は、「No AI without PI」の概念について、「AIが企業のビジネスを真に理解するには、プロセスインテリジェンス(PI)が提供するコンテキストが不可欠である」というAIとPIが相互に補完し合う関係性を強調し、講演を締め括りました。

プロセス変革の推進とチェンジマネジメントの確立:変革を成功に導く秘訣と成功事例

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続くプロダクト講演では、Celonis株式会社 バリューエンジニアリング統括本部 第二本部 シニア・バリューエンジニアの太田陸登が登壇。太田はDXが進む一方で、いまだに標準化や全体最適が進んでいない現状を指摘し、変革の障壁として「可視化だけで終わってしまった」「推進体制の分断(IT、現場)」「リーダー不在」などを挙げました。

その上で、変革を成功に導くためには事業運営モデルの構築が不可欠であるとし、Celonisが提唱する①バリュー②ピープル③プロセス④テクノロジー⑤ガバナンス⑥カルチャーのという6つの要素からなるフレームワークを紹介。さらに、3000社以上の導入事例から導き出された「エグゼクティブ バイ イン」「センター オブ エクセレンス(CoE)」など8つの成功要因を「変革の健康診断」として活用することを推奨しました。

そして、変革を推進する存在として重要となるのが「チェンジメーカー」です。太田は、チェンジメーカーを「不確実な状況でも行動し、前例のない取り組みに価値を見出す」人材であり、組織内で自由と裁量を持ち、信頼される存在となることで、個人と組織の双方にメリットをもたらす存在と強調します。

講演の最後で太田は、Celonisがチェンジメーカーの育成と共創を支援する取り組みを紹介。PoV(価値実証)視点でのハッカソンや、変革の仲間との情報交換ができるコミュニティ活動などを通じて、「皆様と一緒に変革を楽しめる文化を醸成し、変革を通じて日本を元気にしたい」と、変革のパートナーとしての熱い思いを伝えました。

Celonisによる人との関係の再発掘。顧客、パートナー、従業員を俯瞰し、最適なビジネス戦略を

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Celonis株式会社 バリューエンジニアリング統括本部 第一本部 シニアバリューエンジニアのマムン・モハメドアブドルアルは、人と人とのつながりを可視化してビジネスチャンスにつなげる手法について講演しました。

マムンは冒頭、自身の結婚記念日のレストラン体験を例に顧客満足の本質を説明。細やかな対応により深いファン化が実現されたと語り、こうした人のつながりはビジネスにおいても「営業担当者の対応で購入を決める」といった経験につながると強調しました。見えないつながりをプロセスデータで俯瞰して見える化することで、事業戦略に活用できます。

さらに具体的な施策として、マムンはCelonisのOCPM(オブジェクトセントリックプロセスマイニング)とAI技術の組み合わせを提案。従来のプロセスマイニングは単一プロセスの分析に長けている一方、OCPMでは複数プロセスの関係性を横断的に把握できるため、「課題の原因や背景を、納得感を持って理解できる」と語ります。デモでは、AIが顧客の属性をポジティブ・ネガティブ・ニュートラルに分類し、分類ごとに適したアクションを提案する機能を実演しました。

また顧客事例として、ドイツのアリアンツ社が事故から修理完了までワンクリック対応で最大30%の業務効率化を達成した統合型CX戦略も紹介。戦略・データ収集・分析の3ステップで見えないつながりを見える化することを訴え、「今まで見えなかった顧客体験を可視化し、そこからビジネス価値を産んでいきましょう」と締め括りました。

End-to-Endオペレーショナルエクセレンス:Celonisで再構築する戦略型サプライチェーン

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プロダクト講演の最後では、Celonis株式会社 バリューエンジニアリング統括本部 第二本部 プリンシパル・バリューエンジニアの原田豪が登壇し、複雑化する現代のサプライチェーンを、Celonisでいかに再構築していくかを解説しました。

原田はまず、日本企業のサプライチェーンが約20年間で急速にグローバル化し、外部要因による混乱が常態化した現状を指摘。その上で、グローバル標準のSCMモデル「SCOR」や、日本独自の「カンバン方式」だけでは対応しきれない課題があると提起しました。

この解決策として、原田は「リーンSCM」の考え方を紹介。これは無駄を排除し、全体最適を目指すアプローチだと説明しました。そして、その実現の鍵として、従来のBIツールとの違いを説明。「BIツールが見せるのは『今の状態』というスナップショット(静止画)だけ。サプライチェーンは“流れ(動画)”であり、Celonisはその流れの中で構造的・プロセス的な問題を可視化し、改善へと導ける」と強調しました。さらに、Celonisの独自性として、プロセス分析による根本原因の特定、AIモデルによる影響度の把握、オーケストレーションエンジンによる自動化を通じた「オートノマスエンタープライズ」の実現を挙げています。

講演の後半では、古いパッケージ商品の在庫を最適配置した消費財メーカーの事例や、AI機能を使って欠品を防ぐ自動車パーツメーカーの事例を紹介。最後に原田は、「お客様と一緒にプロジェクトを進め、さまざまな課題解決に向き合っていきたい」と決意を述べました。

->イベント当日の各講演については、こちら からご覧いただけます。