「Process Intelligence Day Tokyo 2025」開催―「No AI without PI(プロセスインテリジェンスなしにAIなし)」 イベントレポート第三弾

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Celonis は、2025年7月9日、ANAインターコンチネンタルホテル東京にて年次イベント「Process Intelligence Day Tokyo 2025」を開催。日本の企業に向けてプロセスマイニングの最新動向やその活用事例を紹介しました。本稿では、各講演の重要なポイントを抜粋して紹介します。なお、イベント当日の各講演については、こちら からご覧いただけます。

イベントレポート第三弾では、毎年好評を頂いているCelonisを導入されている実際のお客様の3つの事例講演についてご紹介します。

Aflac Nakamura

生成AI機能を活用した「感動的なユーザー体験の創出」に向けた取り組み

事例セッションには、アフラック生命保険株式会社 ZERO 変更保全手続き・コンタクトセンター変革トライブ 企画管理高度化プロセスマイニング推進スクワッド プロダクトオーナーの中村 匡亨様が登壇しました。同社は、業務増加とデジタル化推進に対応すべく、保険契約管理業務の抜本的再構築プロジェクトを実行中。その目的である、事業費の大幅な削減と感動的なユーザー体験の創出、業務継続能力の向上を実現すべく、Celonisを導入。2023年からプロセスマイニングを開始し、2025年にはCelonisの生成AI機能活用を進めています。

生成AI活用に向け、中村様はCelonisのマドリード拠点を訪問し、「オペレーション活用を優先し、実現価値と容易性を軸にユースケースを選定する」方針を確立。その方針のもと、約1カ月で2つのユースケースを深掘りするトライアルを実施しました。

その1つが、保険金支払見込についての問い合わせ対応で、CelonisのデータとAIが問い合わせに対して支払日数を予測するユースケースです。トライアルでは「Celonisに取込済みのプロセスデータをもとに支払見込日を判断可能」であることが実証され、「ビジネス部門のエンドユーザーにも理解可能な自然文での出力」も確認されました。こうした成果を短期間で出せたことについて中村様は、「ビジネスとIT、Celonisの三者でユースケースについて共通認識を持てたことと、その実現方法をシステム・ツール観点でチェックしたうえで実装できたことが成功の秘訣です」と語りました。

中村様は、短期間での成果創出を評価しつつ、今後の課題として「オブジェクト定義、ナレッジモデル整備」や「メンバーの生成AIの知識およびプロンプト定義などのスキル向上」を挙げています。今後も、顧客ニーズに基づいたユースケースドリブンでの生成AI活用を進め、「感動的な顧客体験の実現」を目指すと力強く締め括りました。

CCPMからOCPMへ〜マクニカのプロセス改善とAI活用の軌跡

Macnica

続く事例セッションは、株式会社マクニカ IT本部 グローバルIT資産管理ツール統括部 ITシステムマネジメント部 基幹システム課 課長代理の海老原 剛夫様と、同社 業務支援 コーポレートシステム課 主席の藤本 慎也様が登壇しました。マクニカでは、「Vision2030」達成に向けたDX戦略の一環としてCelonisを導入し、プロセスの可視化と改善に活用しています。

受注領域でケース・セントリック・プロセスマイニング(CCPM)を3カ月で可視化・ソリューション選定まで進め、2024年度には調達・会計領域へ拡大。海老原様は「現在までに24個の改善ユースケースを発見し、全て達成すれば、年間7,000万円の価値創出を見込めます。現在は価値の刈り取りに注力しています」と、成果を報告しました。

また同社では、Celonisが実施したAIハッカソンの事例を参考に、社内でのAI適用を検討。藤本様は、「社内のコミュニケーションの煩雑さが大きな課題でした」と述べた上で、「非構造化データであるメールをAIで取り込み、課題を見つけ効率化する」というCelonisで日本初の事例に取り組んだことを共有されました。営業担当者がハブとなって発生していた部門間のやり取りをスリム化し、営業が本来の活動に注力できる環境を整えました。

今後、マクニカでは、オブジェクト・セントリック・プロセスマイニング(OCPM)とAI活用を深化させ、他システムのデータも取り込むことで、AIレコメンドや自動メール送信などの定型作業のさらなる自動化、自律化を進めていく方針です。

パナソニックグループにおけるBPR×AI×Celonis最新事例

Hayashi

パナソニック インフォメーションシステムズ株式会社は、パナソニックのIT中核会社としてCelonisを業務プロセス変革のキードライバーと位置付けています。セッションには、同社 グローバル本部 グローバルソリューション事業部 グローバルDX部 部長の林 大介様、同部 DXソリューションチームの新谷 梨乃様、同チームの岡崎 稔様が登壇。林様は「2025年3月のCelonis AIハッカソンで準優勝を果たすなど、内製化にも注力し、2名から15名へとリソースを拡大しています」と説明しました。

Shinatani

新谷様は、その実践例としてAI活用事例を紹介。数万点になるスペアパーツ在庫における品番の重複をAIで検知し最適化する取り組みや、Celonisの新機能「インサイトエクスプローラー」に言及しました。後者については、AIが大量データを自動分析し、特定の購買グループの自動化率改善効果など、「ビジネス部門の気づいていない潜在課題を導き出してくれます」と説明しています。

Okazaki

また岡崎様は、より複雑なプロセス横断型の課題として、SCM領域へのプロセスマイニング適用について解説。計画系と実行系のサプライチェーンをつなぐ難しさや、欠品と在庫増加が同時に発生する構造的な問題を指摘し、「皆が同じレベルで認識できれば、計画も実行も円滑に回るのではないでしょうか」と、プロセスマイニングによる客観的な可視化の可能性を示唆しました。

最後に林様は、今後も双方向の取り組みを共有し、全体でシナジーを発揮して改善を推進していきたいと展望を語りました。

→ イベント当日の各講演については、こちら からご覧いただけます。