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CeloUG (Celonis ユーザー会) 第二回全体会議を開催しました

2022.08.18

CeloUG(Celonisユーザーグループ)の第二回全体会議が2022年7月15日(金)に開催されました。本年4月の初回全体会議と同様に、オンラインでの開催となり、15時から17時までの2時間、全国から71名の方にご参加いただきました。どうもありがとうございます。

【プログラム】

  1. 開会の挨拶 近藤 裕司氏(KDDI株式会社 技術統括本部次世代自動化開発本部オペレーション基盤開発部副部長) 谷原 一寛氏(パナソニック オートモーティブシステムズ株式会社 オートモーティブ社 インフォテインメントシステムズ事業部 コネクテッドDAビジネスユニット Android商品開発センター プロダクトマネジメント部 部長)

  2. 導入事例のご紹介 新谷 梨乃氏(パナソニック インフォメーションシステムズ株式会社 海外ソリューション事業部)

  3. Celonis 製品アップデート情報 寺田 有汰 (Celonis株式会社 ソリューションエンジニアリング マネージャー)

  4. パネルディスカッション モデレーター:  近藤 裕司氏  (KDDI株式会社) 谷原 一寛氏  (パナソニック オートモーティブシステムズ株式会社) パネラー: 海老塚祐史氏 (Ridgelinez株式会社) 新谷梨乃氏  (パナソニック インフォメーションシステムズ株式会社) 渡邉芳雄氏  (株式会社日立システムズ)

1. 開会の挨拶

最初に、理事の近藤氏、谷原氏より自己紹介の後、CeloUGの概要と活動方針が紹介されました。その中で近藤氏は、プロセスマイニングの技術はユーザーの力で盛り上げていくものなので、ユーザーコミュニティを通じて仲間を作っていきたいと述べられました。そして、谷原氏からは、理事というと固いイメージだが、本コミュニティを盛り上げていく一員として推進し、本コミュニティの活動を通じて、日本企業を盛り上げていきたいと述べられました。

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2. 導入事例のご紹介:パナソニック インフォメーションシステムズ株式会社

パナソニック インフォメーションシステムズ株式会社海外ソリューション事業部の新谷氏から、「パナソニックグループが推進する基幹システムモダニゼーションの取り組みとCelonis導入事例」と題し、自己紹介に続き、プロセスマイニング必要性の背景、事例紹介、社内取り組み状況のアップデートについてご講演いただきました。

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同社は、パナソニックグループが推進する“PX(Panasonic Transformation)”の一環として、SAP S/4HANAの導入による基幹システムモダナイゼーションを進めています。2022年1月より、Celonis導入プロジェクトをスタートし、新谷氏は海外事業を広く支援する部署で、データエンジニア兼データアナリストとして日々活動されています。SAP S/4HANAを中心とする基幹システムのモダナイゼーションにおいて、SCMプロセスの可視化・標準化を加速する必要性に迫られたことが、Celonis導入の背景として挙げられました。

これまでは、標準機能と多数のアドオンで個別最適化を図っていましたが、これからの基幹システムのモダナイゼーションはプロセスの軽量化、可視化を伴って、短いインターバルで展開し、業務オペレーションの生産性を向上させ、長期にオペレーショナルエクセレンスを実現させることが重要であると述べられました。

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多くのシステム導入では、要件定義と意思決定に、多くの時間を会議に費やし、現場から遠い上層部の一声で意思決定が覆される、放置されていたレガシーシステムは要件を知る人がいない、現場担当者が業務変更に抵抗した結果、新規システムが旧システムの置き換えとなってしまう、などが多発しがちであった。それは、システム導入が人の経験と勘に頼っていたためで、これを解決できるのがデータの力であると説明されました。

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そして、同社ではグローバルテンプレートを用意し、SAP S/4HANAを各地域内で展開していく上で、現行のAs-Is分析を迅速に実行するための手段として、海外販売会社主要2拠点でCelonisのPoC(概念実証)を実施しました。その結果見えた課題として、プロセスの変更やキャンセル処理の多さが原因で膨大なプロセスパターン数が発生し、業務が複雑化していることが判明しました。従来型の人の経験と勘に頼ったやり方では、網羅性と客観性に欠け、意思決定に時間がかかりますが、Celonisを活用することで、データ起点となり網羅的、客観的に現状把握が可能となり、結果、極めて短期間に様々な業務課題の特定と改善の提案が可能となりました。特筆すべきは、SAPや業務知識が不十分でも、Celonisを活用することで、業務課題が明確になったことで、今後は、データを通じて見えた課題を改善に繋げていくことであると述べられました。

次に社内の取り組み状況として、社内向けのプロセス分析サービスの立ち上げを準備中で、プロセス分析手法として独自のマニュアル、分析アセットをまとめ、体系化し、社内プロセスマイニング人材の育成や海外メンバーへのナレッジやスキルのトランスファーを実施していると紹介されました。

最後に同社の現在の3つの課題として、Celonisエンジニアがまだ2名体制とリソース不足であること、2つ目が社内に大量のレガシーシステムが存在し、その刷新に迫られているが、プロセスマイニングを活用するためのログが果たしてあるのか、3つ目にシステム導入でCelonisを活用していると課題の発見で終わり、その費用対効果だけを考えると、本来の改善のサイクルを回すという真のプロセスマイニングの価値を見落としてしまうことであると述べ、講演を締めくくられました。

3. Celonis製品アップデート情報

続いて、弊社ソリューションエンジニアリングマネージャーの寺田より、第一回のCeloUGのアンケートで寄せられた意見をもとに、プロセスマイニングのベーシックセッションとして、「Visual Editorを活用し、プロセスマイニングならではのKPI設定方法」について紹介しました。

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課題発見のアプローチとKPI設定として、以下の5つを説明し、それぞれビジュアルエディターを使ったKPI設定方法と操作方法を解説しました。

  • プロセスステップ (KPI 例:価格変更率) ― アクティビティセレクション

  • 順番 (KPI 例:事後発注発生率) ― プロセスフローセレクション

  • スループットタイム (KPI 例:納期遵守率) ― 集計

  • 自動化 (KPI 例:自動化率) ― 比率

  • 特殊 KPI (KPI 例:職務分掌順守率) ― バケット

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4. パネルディスカッション

続いて、パネルディスカッションでは、まずパネラーの3名、海老塚氏 (Ridgelinez株式会社)、新谷氏(パナソニック インフォメーションシステムズ株式会社)、渡邉氏(株式会社日立システムズ)の自己紹介の後、モデレーターの近藤氏(KDDI株式会社)、谷原氏(パナソニック オートモーティブシステムズ株式会社)より前回のアンケート結果から要望の多かった3つのトピックが紹介され、ディスカッションが開始されました。

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トピック

  1. Celonis を始めるタイミングについて

  2. プロセスマイニングで改善サイクルを回すための組織体制について 例:海外拠点を含む、他部署との連携、協力を得る方法など

  3. Celonis習熟度向上に向けた取り組みについて

1. Celonis を始めるタイミングについて

Celonisを始めたタイミングについては、海老塚氏からは、トップダウンのアプローチでスタートしたこと、新谷氏からは事例講演でも紹介されたとおり、SAP S/4HANAへのシステムのモダナイゼーションのタイミングでスタートしたとのことでした。どちらも業務をデジタル化、数値化、評価して改善していく方法であるとモデレーターの近藤氏が説明されました。

渡邉氏からは、システム導入後のタイミングでCelonisを活用し、正しく業務を実行しているかチェックし、そこでの改善を回していくことが、非常に重要であると話されました。

渡邉氏】以前は数字的な根拠に乏しく、改善効果が不明瞭になりがちでした。そこで、数値的な根拠を元に業務システムの改善を実行したいと考え、Celonisを導入しました。これからは、業務システムの改善は、Celonisで数値化、可視化することで明確にすることが重要と考えています。

また、パネラー3名から、勘でやっていたものが、Celonisで数字化して具体的に分かるようになったことで社内での評判、印象は好評であると述べられました。

【新谷氏】今回Celonisを活用して判明した、あの衝撃的な数字は社内のいろんなところで話題になり、特に海外の販売会社でのインパクトが大きかったです。社長がCelonisを高く評価し、また、社内でもCelonisはすごい、これからはデータに基づいて変えていく、新しいものが出てきたと、かなり評価は良かったです。

また、導入後、推進を加速するために、 社内での啓蒙活動を積極的に実施している(新谷氏)、IT部門で分析した結果を主管元に共有し、協力を得る(渡邉氏)、プロジェクトメンバーでディスカッションを重ね、プロセスマイニングの理解を深め、方針を決める(海老塚氏)との紹介がありました。

海老塚氏】プロジェクトの導入前に企画構想のフェーズを用意し、プロジェクトメンバーで以下の3つについてディスカッションしてプロセスマイニングの理解を深め、方針を決めました

  • プロセスマイニングの価値

  • プロスマイリングを導入するために何が必要なのか

  • プロセスマイニング導入後どう活用するか

モデレーターの谷原氏は、プロセスマイニングを活用する目的や方針策定をした上で、しっかり発信し、共感を得て、興味を持ってもらい、仲間づくりをしていくことが、導入フェーズで一番大切なことだと思いました、と述べられました。

2. プロセスマイニングで改善サイクルを回すための組織体制について 

組織体制については、新谷氏からは、実質人員は2名しかいないので、アジアのメンバーにナレッジ、スキルトランスファーを実施し、Celonis人材を育成しているとのことでした。渡邉氏は自身が主管元にもともと所属しており、その後IT部門に異動されたので、IT部門を中心に主管元と連携した体制で進めているとのことです。また、海老塚氏はCOE体制を導入して、同社のDX変革という大きな取り組みの中の1つのサブチームとして体制を調整したと述べられました。

渡邉氏】もともと私が主管元にいたため、Celonisの構築を進めるにあたり、意思の疎通が比較的容易で、業務改善の方向性も合わせることが出来ました。具体的な数字やKPIなど主管元と話し合う中でコンセンサスをとるのは、やりやすくありがたいです。分析結果の確認おいては、主管元・IT部門が共同で分析内容の確認を行う体制をとっており、発生したデータの確認・プロセスの動きを把握し、プロセス上の問題・課題を主管元・IT部門にて共有し、プロセスの改善につなげるようにしております。

モデレーターの谷原氏は、第三者視点で指摘をするとうまくいかないので、COEをプロジェクトや組織の内部に置いて、「私たちのプロセスは今こうなっているから、だから私たちはこう改善しよう」と主語を「私たち」にして、共通の課題認識とし、組織の成長と改善に繋げるように組織運営をしていくことが非常に重要であると述べられました。

谷原氏】定着、拡大フェーズでは、経営層、マネジメント層や現場リーダー層に、この活動の重要性をしっかりと共通認識化することです。それぞれのレイヤーで導入価値、導入効果を共通認識化することでさらに加速が測れると考え、そのように進めています。

3. Celonis 習熟度向上に向けた取り組みについて

海老原氏、渡邉氏は、分かり易いプロセスを選び、スモールスタートで成功体験を積み上げることからスタートし、分析、仮説検証ができたら、別のプロセスに広げるサイクルを短い期間で何回が回して、習熟度を向上させたとのことです。

海老塚氏】成功体験を積み上げていくところが重要であると考え、クイックにウィンできるところから始め、そこで得られたノウハウ、知見を次に活かしていくことで、全体的に習熟度を向上していきました。方向性が全く違うメンバーを集結させるため、言いたいことを言い合って、何度も諦めずに、徹底的にディスカッションしました。組織は縦割りですが、調整役を置くことも重要で、我々の場合は、マネジメント級の方1名に担当してもらい、そこを通して議論をして方向性を合わせることも1-2回ありました。

新谷氏の場合は、自身が習熟度を向上しないといけない立場で、2-3か月の間、OJT方式で毎日短いサイクルで分析し、結果をまとめ、毎日発表し、フィードバックをもらうことをやり続け、習熟度を向上させたと紹介されました。

【新谷氏】これからCelonis人材、DX人材を創ると検討されている皆様に、私から言っておきたいことは、DX人材の定義は自ら調べ、自ら学ぶことのできる人だと思います。専門家や、Celonisのプロを集めないと分析ができないのは、時代遅れであり、自分で学ぶ人材がCelonisの習熟度を上げて、サイクルを回していくのがいい形だと思っています。

パネルディスカッションの最後に、モデレーターの近藤氏は以下のように述べ、締めくくられました。

【近藤氏】ある程度自分でやってみて、その結果が数値として見えて、改善していく、というところで興味のある仲間を作るツールであると思いながら、取り組んでいます。以前は、開発側のIT担当者が使っていましたが、今年から、現場の担当者が使うやり方に変えました。毎週、2時間程度の勉強会を実施し、自分たちでダッシュボードを作れるようにして、そのダッシュボードを活用して、改善することを今、学習してもらっています。最終的に現場部門が、自分たちの業務がどうなっているのかが分かるようになるのと考えています。弊社は組織が縦割りで、Celonisはそこに対して横の繋ぎができる技術であり、結果を出すことで、仲間が増えて、より強くなっていくことができると考えています。

次回、第三回CeloUG全体会議は、2022年11月頃に開催が予定されています。Celonisユーザーコミュニティの活動に参加ご希望のユーザー様は以下までご連絡ください。

問い合わせ先:CeloUG事務局(Celonis株式会社内)marketing-japan@celonis.com

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