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日本のデジタル変革に欠けているピースをはめ込もう

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村瀬 将思(Masashi Murase)
代表取締役社長
Celonis株式会社

2021.12.01

12月1日付けでCelonis株式会社の代表取締役社長に就任いたしました村瀬将思です。当社はドイツとNYに本社を置く、プロセスマイニング業界最大手であるCelonis SEの日本法人です。プロセスマイニングというテクノロジはまだ新しいものですので、どういったものなのかご存じない方や、一部の限られた産業のみに導入・展開可能な技術だとお考えの方もいらっしゃるかもしれません。プロセスマイニングというのは、実は、ポストコロナに向けて世界中が注目しているハイパーオートメーション(機械学習やAI、RPA等様々なデジタルテクノロジを活用して、横断的に複数の業務を自動化する概念)の肝となるテクノロジであります。

Celonisが提供するプロセスマイニングとは、一連の業務プロセスにおける様々な課題をデータから発見、分析、改善する技術です。蓄積されたデータによってプロセスの流れを可視化し、ボトルネックとなっている課題を特定し、その改善のためのアクションを他のデジタルテクノロジとも連携しながら提供する、という領域までもカバーしています。まさにデータをベースにビジネスをアジャイルに変革するための司令塔であり、非効率な作業を削り、業務改革とデジタルトランスフォーメーション(DX)を後押しし、社会や産業構造全体の改革を大きく進めるためのデジタルプラットフォームと言えます。

日本では新型コロナウイルス感染拡大により、社会、産業界においてDXが大きく進んだと言われています。また、国を挙げての働き方改革推進施策により時短勤務や有給休暇取得が奨励されるようにもなりました。

しかし、実際のところ企業や社会の生産性は向上したのでしょうか?

私たちの生活の質は果たして良くなったのでしょうか?

私は、Celonisが、データ分析を出発点として、社会や産業界それぞれの組織が最適なプロセスを実行するための能力を提供し、デジタルの力を使って人々の働き方を変え、社会から無駄を省き、サステイナビリティの向上に貢献できる企業であると確信しております。

「データ活用と改善アクション」という、本質的に必要でありながら日本の従来のDXには欠けていたピースを埋め込む。そのために製造、金融、ITの現場から自治体のシステムに至るまで、「Celonisの技術によって実現できること」は枚挙に暇がありません。プロセスマイニングを導入できる領域やシナリオは無限大、だからこそ、この革新的なデジタルプラットフォームに私は限りない成長性を感じています。

なぜプロセスマイニングなのか

では、プロセスマイニングによるデジタルを活用した業務実行ソリューションとは具体的にどんなものなのでしょうか。

簡単に言えば「業務の流れの姿を、システムに記録されたデータに基づいて正確に把握し、問題点を見つけ、改善のためのアクションを自律的に、そして継続的に実行する」というものです。Celonisは業務システムなどに蓄積されたデータから集めたイベントログを元に、業務の流れをデジタルに可視化します。非効率作業、ボトルネック、不必要な繰り返しプロセスといった課題を抽出し、原因を特定し、是正に向けたアクション(実行)を支援します

私たち自身の健康管理に例えて言うならば、組織の業務の流れ全体のレントゲン写真を撮り、課題を発見し、解決するためのアクション(処方箋)の仕組みを作り、そしてお客様自身において改善活動の自立性が確保されるよう支援するのがCelonisの仕事です。

私は、DXには大きく以下三つの要素が、その成熟度を定義する上でも重要だと考えます。「Velocity(スピード)」「Experience(体験)」「Intelligence(インテリジェンス)」の三つであり、これらが有機的に作用し合うことで、はじめてDXの成果としてユーザを虜にする革新的なモデルが創造されるはずです。Velocityは体験(Experience)の向上を促し、Velocityを上げるためにもIntelligenceが必要なのです。しかしながらこれまでは、個別最適のシステム群に散らばるログデータを収集、分析し、テクノロジ横断的にEnd to Endで業務の品質や速度を管理する手法はありませんでした。Celonisを初めとしたプロセスマイニングが、各システムのログデータからTime stamp(処理日時)を収集し、プロセス全体のVelocityと業務効率の可視化に成功しました。また、そこから業務最適化に必要なアクションを他のテクノロジと連携しながら促し、進捗や実績をリアルタイムに収集・顕わにすることで、唯一無二の「DXのダッシュボード」を手に入れることができると言えます。このように「時の制御」を可能にした唯一のテクノロジ企業がCelonisであり、そのテクノロジの土台がExecution Management System(EMS)プラットフォームであるわけです。

このように革新的なプロセスマイニング技術ですが、残念ながら認知度はまだ高いとは言えません。Celonisの業界におけるグローバルシェアは約80パーセントと言われ、導入企業はSIEMENS、DELL、Schlumberger などの世界的企業を含む3,000社以上とほぼ市場を寡占しておりますが、北米やアジア市場における導入率は欧州と比べまだ低いのが現状です。しかしながら私は、業界に占める製造業の割合が高いといった多くの市場類似性を持つドイツで伸びたこのビジネスが日本で飛躍的な成功を遂げることを既に確信しております。

グローバルの成功を日本でも再現

日本でもコロナウィルスのパンデミックをきっかけにデジタルの導入は確かに加速しました。しかし多くの現場では、「メールをチャットにした」「紙をなくした」「FAXは廃止した」などの単なる「デジタイゼーション(電子化)」で終わってしまっています。それさえもできていない日本の組織が多いのも、また別の事実ではありますが・・・。

デジタル化はできても、取り込んだデータを活用したビジネスモデル構築には至っていない。あるいは業務ごとのツールが異なるため、プロセス全体の流れを網羅するデータがなく本質的な問題が発見できない。こうした課題も多く、「デジタル化」が「変革」というレベルに至らないという、現在のDXの限界を感じる場面をよく見かけます。

一つ例を挙げてみましょう。

日本におけるコロナワクチン接種開始の遅れや、開始後の手際の悪さ、官民連携の不足ゆえの非効率性が大きな問題になったことはご記憶に新しいと思います。ではここにプロセスマイニングを導入していたらどうなっていたでしょう。ワクチン供給のボトルネックとなっている問題を特定し、自治体がマンパワーを使って洗い出すデータや紙の接種券発行は電子化/効率化し、運搬、流通、在庫なども一括管理することができます。「もし」ワクチン接種の場にプロセスマイニングが使われていたら、接種が速く進んだかもしれません。政府・自治体職員や医療関係者、流通関係者の間でも無駄のない体制を構築でき、彼ら自身の負担の軽減にさえ寄与したかもしれないのです。

このように、日本にはプロセスマイニングを活用できる現場や機会が数えきれないほど存在します。

2011年にミュンヘンで創業したCelonisは今年6月時点で企業価値1.2兆円にまで拡大し、過去四年間連続で年間成長率100パーセント以上を達成しています。

加速するグローバル競争に直面する日本企業にとって、徹底した効率化と優れた顧客体験、さらに従業員体験をも実現するためにはDXの推進は必要不可欠です。破壊的なビジネスモデルの創造と官民におけるDX加速の必要性を考えると、Celonisが日本市場で4年で100億円の売上を達成することも決して難しくはないと考えます。まずはその第一歩として、2月からの第1四半期で日本における人材リソースを倍増します。

インドのiGATEや前職ServiceNowなどグローバル企業でのキャリア、そして幼少期に過ごしたカナダ・ケベックでの体験は、私に世界の流れの速さを認識させ、多様性や多言語の必要性を教えてくれました。Celonisでは多様な価値観を持つ、エネルギーにあふれた優秀な人材を確保すべく、大学との提携を踏まえた積極的なインターン制度も既に初めており、今後ますます充実させていく予定です。

まずは通信業・IT関連業から日本を変える

ビジネス・社会の変革には賛同する仲間も必要です。そこで2022年1月より、国内大手企業経営層の皆様向けにご招待制の情報交換会「Celonis CXO Club」を開始いたします。ラウンドテーブルなどを通じて、プロセスマイニングやData Executionの世界(デジタル・データを活用したビジネス運営)の現在と今後について協議し、積極的な推進を支援してまいります。また同時にDXが比較的進んでいる通信業、IT関連業界とのパートナーシップ加速を目指します。こうした業界の皆様との協業により、その先の多くのクライアント様についても官民問わずご支援できる点から、私はこれを日本市場獲得の大きな一歩と位置付けています。そして日本が誇る製造業、市場の大きな金融業界についても注力していきたいと考えております。

世界中のCelonisの仲間達と共にData Executionを積極的にご提案し、日本における業務改革を通じて非効率、無駄を徹底的に削減した社会を構築し、サステイナビリティ向上に貢献する。日本における今後の経済成長を阻害する問題を可視化するCelonisのソリューションが、真の意味でのDX促進のラストピースになることでしょう。

その求められているピースをはめ込む機会を与えていただき、改めて光栄だと感じるとともに強い責任感に身が引き締まる思いでおります。

私のこれまでのキャリアと積み重ねた経験を、Celonisのフィールドでさらに活かして社会に貢献する。そんな新しいチャプターを思い描き今からとてもワクワクしています。皆様におかれましては今後とも変わらぬご支援のほど、よろしくお願いいたします。

-> 10月12日に開催した Celonis World Tour 2021 の講演コンテンツをオンデマンドで配信中です。是非ご覧ください!

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