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プロセスマイニングとタスクマイニングの違いとは?

2020.07.17

kv_タスクマイニング_jpblog

企業の業務効率化を目的とした様々な分析方法やツールがありますが、その中で、「プロセスマイニング」は業務システムに蓄積されたログデータに基づいてプロセス全体を改善するアプローチが「プロセスマイニング」で、業務の問題点を特定し効率化を支援する手法であり、注目を集めています。

2000年代に入ってから進んできた業務のデジタル化やデジタルトランスフォーメーション、データに基づいた経営(データドリブンな経営)をさらに一歩、推し進めるものとして今、期待されています。

「プロセスマイニング」と「タスクマイニング」

「プロセスマイニング」は、とりわけ日本国内では、比較的新しい業務改革のトレンドとして注目されています。一方、業務の“マイニング”をする手法として「タスクマイニング」と呼ばれるものもあります。 プロセスマイニングとタスクマイニングは混同して語られることが多いものの、両者のコンセプトと役割には違いがあり、取るべきアプローチの方法もまた異なります。

そこで今回は、プロセスマイニングとタスクマイニングについてそれぞれ解説し、両者の違いを明確にしていきます。

BUSINESS DATAとUSER INTERACTION DATA

|プロセスマイニングとは

まずは「プロセスマイニング」についてです。現在、大きなトレンドとして語られるプロセスマイニングは、

“業務システムやアプリケーションからログデータを収集することにより業務プロセスを可視化・分析し、業務フローの全体像を捉えて、課題を発見し、改善策を出し、その効果をモニタリングするアプローチ“

と理解されています。業務システムの全てのイベントログデータを収集し可視化することにより、業務プロセスの俯瞰的な分析を可能にします。これにより、あらゆる業務処理パターンを把握し、業務のさらなる効率化を推進します。各種リードタイムの改善により顧客満足度を向上させ、効率的な在庫管理を実現し、買掛金の支払いタイミングの見直しによるコスト削減などを目指すことができます。

具体的には、SAPやSalesforce、ORACLEといった業務に使われるERPシステムや、各社固有の業務ITシステムから、ログデータをまずは収集します。その際にKeyとなるのが、

・ケースID(業務プロセスに割り振ったID)

・アクティビティ(プロセス内のステップ:「申請」「上長承認」など)

・タイムスタンプ(実行日時)

といった要素です。これらキーデータを基軸にして各種ログデータを統合的に分析することで、ボトルネックになってしまっているプロセスや、効率の低下を招いている例外業務の特定を行い、業務プロセスの改善を行います。

すなわち、イベントログデータを収集し、業務システム上のビジネスプロセスを網羅的に把握、総合的に分析、問題点を発見し、改善策を打ち出し、その改善効果をモニタリングする総合的な業務改善を実現するための分析アプローチだといえます。

|タスクマイニングとは?

続いて、「タスクマイニング」とは何なのでしょうか? また、プロセスマイニングとは何が異なるのでしょうか?

昨今、プロセスマイニングと共に議論に上るタスクマイニングは、業務のより詳細な手順に的を絞って分析、効率化を図るアプローチです。

具体的には、現場の社員が行うPCでの作業データを収集し分析します。担当者のPCの操作ログを取得し、PCを使っている/使っていない時間や、オフィスソフトを立ち上げた、文字を入力した、メールの送受信を行ったといったデータを基に、より効率的な作業への改善点を探し出す取り組みです。

すなわち、タスクマイニングとプロセスマイニングとでは、業務効率化という目的は同じですが、分析対象の範囲が異なり、必然的に得られる知見や成果も違ったものになります。

タスクマイニングは業務プロセスの一部を担うシステム操作、現場での社員一人ひとりの作業に近いところから効率化を図ることになります。

Celonisのアプローチ

Celonisの提供するIntelligent Business Cloudはプロセスマイニングを可能にするプラットフォームであるものの、タスクマイニングの機能も現在では備えています。

Celonis Intelligent Business Cloudでは、

・Collect(システムからプロセスデータを抽出し、イベントログへ変換)

・Discover(プロセスをリアルタイムで可視化して分析し、問題点を明らかにすることで根本原因を特定)

・Enhance(プロセス分析結果から実効的な改善策を打ち出す)

・Monitor(プロセス改善が及ぼす効果を指標化しモニター)

と、大きく分けて4つのステージで実施し、業務の効率化を図ります。

ほかにも、分析対象としている業務において、担当者に自動的に指示・アラートを通知する「Action Engine」といった機能も活用できます。「Action Engine」は機械学習により蓄積されたログを分析し、業務と業務の紐づけを自動的に見出して、次に起こすべきアクションを通知してくれます。また、動的に学習と分析を続けることで改善のサイクルを絶えず回していくという機能でもあります。

一方で、社員の手元作業の効率化を図るタスクマイニングの機能も提供しています。

PCの操作としては、クリックやスクロール、ユーザーのアクション、付随するタイムスタンプやスクリーンショットを記録。OCRを用いて、単語や数値、関連した用語を収集します。その分析を行うことで、いかなる場面での操作なのかを明らかにし、分類します。

さらに、AIを活用することにより、自動的にトピックに関連づけ、いかなる種類のアクションなのかを判別します。たとえば、その操作は特定チャネルにおける売上の予測や、購買の承認というアクションとして判断され、自動で紐づけてくれます。

また過去の事例データを分析に加えることで、業務への影響を計り知ることができます。そうして得られた知見から洞察を獲得し、実務の効率向上を目指す取り組みとなります。

ビジネスデータとユーザーインタラクションのデータを組み合わせることで、もっとも包括的なビジネスの進め方を把握でき、ビジネスの成果の最適化に向けた前進が可能です。

Process Mining と Task Mining は補完関係

2つの“マイニング”による相乗効果

プロセスマイニングとタスクマイニングはいずれも業務プロセスの改善策である一方で、異なるアプローチの手法だとみてきました。

改めてまとめれば、プロセスマイニングは「購買」「旅費精算」などの業務単位でイベントログを収集し、全体の大きな流れを把握したうえで問題点を見つけ出し、改善策を打ち出すアプローチです。

対してタスクマイニングは個々のPCで操作されるタイピングやスクロールという「タスク」単位に着目して分析を図り、個別最適化・効率化を目指す方法です。

プロセスマイニングとタスクマイニングは補完関係にあり、組み合わせることで相乗効果を期待できます。

Process MiningとTask Miningの目的

Celonisはタスクマイニングをプロセスマイニングの拡張として捉え、両者を連携させることでより大きな効果の獲得を目指しています。

*国内では、タスクマイニングの正式リリースは2020年11月を予定しています

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